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そう聞かれたのは、12年ほど前の淡路島だった。
ひょんなことから、有名な建築評論家、五十嵐太郎氏と淡路島の建築を巡る機会があり、安藤忠雄の水御堂など、様々な建築を見て回った。

五十嵐氏の建築好きは尋常ではなく、駐車場と建築物が離れている場合、早く建築が見たくてダッシュで駆け出していく。当時、ふくよかな体型をされていたが、高速で移動するナンシー関のような巨体を眺めながら、つくづく、自分がそこまで建築を好きではないとわかった。

自分は建築学科を卒業しておきながら、当時神戸のホームページ制作会社にいたため、五十嵐氏にネットで何か面白いことはないかと聞かれた。私は、ネットによって、いかに最小の時間で最大の情報が得られるか、より自分に合った商品が買えるか、といった話をした。

五十嵐氏はきょとんとした眼をしながら、
「ネットってそれだけなの?」と言って、
悪意ではなく、純粋に不思議そうに私を見つめた。

「ネットは効率的なだけなのか?」という問いかけだったように思う。さらに言えば「ネットは効率以外に何か新しいコンテンツを生み出したのか?」と。それから12年。答えはまだよくわからない。

ネット上のコンテンツの多くは、他のメディアで作られたものの転用であり、サービスは様々に作られたけど、ネット発のオリジナルコンテンツとなると、極めて少ない。多くはユーザーが好きで作っているものであり、それはそれでいいとして、ちゃんと制作費が出て作っているものが少ない。

例えば電車の中の吊皮広告でさえ、ちゃんと写真を撮り下ろしたモノが多いのに、ネットの広告だと、新しく写真を撮るコストさえかけられない場合が多い。素材集から使うのが普通だ。

その辺もふまえて、ちょっと前に「コンテンツマーケティング・セミナー」という、タイアップ広告はもうちょっとコンテンツを作った方が良いのでは、というイベントを開いた。

コンテンツマーケティング・セミナー無題

※当日のレポート:豪華メンバー登壇のセミナーで聞いた「おもしろいコンテンツ」をつくるためのヒント

驚いた事に、80名の定員に対して、500名を越える応募があり、嬉しい悲鳴となった。懇親会も盛り上がり、多くはネットメディア、メーカーなどのウェブ担当者であり、コンテンツを作ったほうが良いと思ってるのだが、社内を通すのに苦労しているのだという話が多かった。

私のプレゼンは、文字だけの部分だと次のようなかんじ。
スライド2

スライド25

スライド28


様々な例を紹介したけど、小さな例でいえば、次のような撮り下ろしの写真付きの記事。
記事、コピー、写真をすべて自前で作った。

無題

広告はそもそも拡散されにくい。
しかし、この画像は明確に広告なのに、タンブラーでも拡散し、記事は通常の5倍のアクセスとなった。
つまり、電車の中の吊皮広告のように、素材集の写真ではなく、ちゃんと写真を撮り下ろした方が結果が出る、という例の一つになった。

これは小さな例だけど、冒頭の五十嵐氏が投げかけた
「ネットってそれだけなの?」と言われる元凶は、繰り返し言うと、
ウェブは制作費と広告価値の関係性が低く
「制作費大×1PV=制作費小×1PV」という前提があるからだと思う。

「制作費大×1PV>制作費小×1PV」が成り立つ制作フォーマットを沢山作ることで、
ネット発のオリジナルコンテンツがもっと増えないかと思う。

「美人撮りたいだけでしょ?」
「ええ、撮りたいだけです」