堀江さんにインタビューをしていて、いかに低コストで衛星を打ち上げるかについて熱くかつ冷静に話されているのに接し、世界で初めてベルトコンベヤー方式で自動車を大量生産することに成功したヘンリー・フォードの言葉、「産業の真の目的は、この世を良質で安価な生産物で満たして、人間の精神と肉体を、生存のための労苦から解放することにある」を思い出した。

ホリエモン(堀江貴文氏)インタビュー「宇宙ビジネスとレーシック」
――ITの次は宇宙ビジネスが熱くなるということですか?
ええ、衛星とロケットを作るコストが劇的に下がった今からがチャンスですね。
衛星を開発するといっても、今は携帯電話が衛星になるくらい進化しているんですよ。なので、携帯電話を改造すればもう衛星になっちゃうんです。
携帯電話ってリチウムイオン電池を積んでいて、高性能なカメラを備えている。SDカード対応でメモリも通信機能もGPSも加速度センサーもついている。これを打ち上げて、カメラで地球を撮影して携帯の電波でデータを送信すればもう立派な衛星ですよ。
(中略)

――打ち上げコストが下がれば何がもっとも変わりますか?
色々な試みができるようになるんですよ。例えば衛星は常に軌道上を周回しているから、地表のある地点を撮影したら、地球を1周しないと同じ地点を撮れないですよね。

でも打ち上げコストが低いと、100機打ち上げて1機を3.6度ずつ配置して360度ぐるっと衛星を配置すれば、同じ地点を連続でリアルタイムで撮影できるんですよ。

――同じところをどんどん違うカメラが追っていくわけですね。
ですね。テレビカメラみたいにリアルタイムで宇宙から地球を放送できるようになると、戦争が起こっていても宇宙から中継放送できるわけです。自分の家を映していてもいいですしね。打ち上げが1回1000万なら、100機あげてもたった10億じゃないですか。それくらいならやりますよね。
例えば気象衛星を100機打ち上げたら、六本木の天気予報をピンポイントでめちゃくちゃ精密に予測できますよ。
また、通信衛星を沢山打ち上げれば、日本のどこからでもブロードバンドで通信できるようにもできるでしょう。

――それ以外には何ができますか?
宇宙を探索する人がいっぱいでてきますよ。
ソーラー・セイルという、風を受けて進むように、光の粒子を受けて飛ぶ仕組みがあって、イオンエンジンを制御装置にして組み合わせると、宇宙の遠くまで低コストで探査できますからね。

堀江さんの宇宙産業への思いは恐らく「誰もが、いかに安価で宇宙にアクセスできるようにするか」だ。思えばIT産業の根幹も「誰もが、いかに安価で情報にアクセスできるようにするか」という思いだったはずだ。現在は逆に、安価にしすぎて元がとれないってことで課金などが試みられているが、そもそものIT産業の思いがなんだったかを忘れないようにしたい。

私は今、個人活動ではなく仕事の方で、お笑い系コンテンツを低コストで大量生産する方法、を模索しているけど、やはりそれも「この世を良質で安価なバカ生産物で満たして、みんなが爆笑する生活をおくれるようにする」という思いからだ。低コストでいかに良いものを作るか、というのはあまりにも当たり前の話だけど、やはりそれが経営者の魂だと思う。私は経営者じゃないけど。

冒頭のヘンリー・フォードの言葉は、『藁のハンドル』に出てきます。

藁のハンドル (中公文庫―BIBLIO20世紀)
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