河合隼雄氏の著書で一番好きな本。
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この本は、人の中にいる影について、古今東西の様々な神話や物語や歴史、精神病の症例などが挙げられており理論というより読み物として面白い。

普段は「極端」に謙遜しているが、酒に酔うと突然妙なことを自慢しだしたりする人がいるが、このような場合、実はプライドの高い影を否定するがあまり、普段は「極端」な謙遜を無意識に装っている。

影ができるのは、幼少期から大人になる課程で、自らの性格を形づくる際に、不要だと思った性格の部分を切り捨て、抑圧する合理的な方法をとったからだろう。

例えば強さを目指す人は、弱さというか柔らかさや人への親切心を抑圧する場合がある。しかし切り捨てられた性格は無意識下で生きており、隙あらば出現しようとする。

上記のテーマに沿った物語は多く、『ゲド戦記』なども有名だ。これらの物語では、自分の影とどう対峙するかが主眼となる。この方法については人によって様々なようで、各自が模索するしかないようだ。

影の現象学 (講談社学術文庫)
影の現象学 (講談社学術文庫)
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